変わっていくことを楽しみながら

たまにやってくる、息子と二人の休日。

いつものように
「明日はなにしようかねぇ」
と前日からそんな会話がはじまる。

全然決まらず、いつものように
「今日はなにしようかなぁ」
と当日の朝、ゆったりとした時間を過ごす。

いつものように、
今回もまたお弁当を作って公園に出かけることになった。


車が使えない日だったから
「バスか電車に乗ってどこかに行くか?」
なんて話しながら準備をした。

ただこの日は、
なんとも浮かない天気。

そろそろ出発しようかというときに、
雨が降っていることに気づいた。

公園の遊具で遊んで、
お弁当を食べることが目的だから、
残念だけど雨が降ったら行けない。

「今日はあきらめるか」
と、しばらく家で過ごし、
ふと外を見ると雨は止んでいる。

天気予報を見ると一日中〝曇り〟だったから、
もう降ることはないだろうという判断で出かけることにした。

そして、家を出て数メートルの地点。
コントのようなタイミングでまた雨が降ってきた。

家を出てすぐ雨が降ったことに笑えてきて
「おいおいおい、なんでなんで」
と、声に出しながらすぐに引き返す。

家に帰り、完全にあきらめていたぼくとは反対に、
息子は部屋にもどらず玄関にとどまり黙々とレインコートを羽織り出す。

「えー、行くの?」
「うん、いきたいの!」
のやりとりがしばらく続き、
息子がドアを開けるとまた雨は止んでいた。

なんだなんだ、、
今日の天気は‥。
これはまた降るかもしれないぞ‥。

ということで結局、
晴れの中、息子は長靴とレインコートを着たまま、
ぼくは傘を持って出かけることに。

なんとなく嫌な予感がするから、
電車やバスの旅はあきらめて、
歩いて近くの公園に行くことにした。

最近、息子が抱っこを求めてくる頻度が減ってきた。
そのことはもちろん、
息子の成長であって嬉しいことだ。
親はラクにもなるし。

ただ、前々から少し恐れていたことがある。
息子を抱っこしなくなったら、
自分の運動不足がいよいよ深刻化するぞ‥と。

べつに自分の運動のために抱っこをしているわけではないし、
抱っこをしているからといって運動がOKなわけでもない。

ただ抱っこしなくなったら、
筋力は絶対に落ちる。

実際抱っこの頻度が少なくなるだけで、
もうすでにたまにする抱っこがめちゃくちゃ重い。

さらに、容赦なく成長する息子の体重は増加していく。

そんな中、先日のこと。
雨降りの日に傘をさして二人で歩いていたとき、
突然やってきた「だっこして!」。
どうも雨の音が怖かったようだ。

ただ傘をさしながら、
荷物と息子を抱えるのはかなりキツイ。

案の定、抱っこして歩き出したとき、
すぐに限界がきてしまった。
重いわ雨に濡れるわで本当に大変だった。

つい先日そんなことがあったから、
この日もちょっと雨降りには敏感だったのだ。

公園に到着すると、
ぼくの手を離し一人でかけ出した息子。

「ここに、つくしがいーっぱいあるで!」
と教えてくれた。

ここは保育園でよく遊びにくる公園。
ぼくよりも息子の方がここのことに詳しい。
楽しみ方をぼくに教えるように、
案内してくれる姿を見て頼もしく感じた。

結局、公園で遊んでいた時間はずっと晴れ。

レインコートはもういらないかと思い、脱がせることに。
そこではじめて、ジャンパーを着ていないことに気づく。

レインコートを着る際、
どうやらジャンパーを脱いでいたのだそうだ。
脱ぐと寒そうだから、
雨降りでもないのに、ずっとレインコート姿で過ごした。


そして公園で遊んだあとスーパーに立ち寄り、
買い物を終えて、さぁ帰ろう!と外に出ると‥。

なんとまた雨が降っていたのだ。

二人で「雨降ってるー!マジかー!」と少し笑いながら。
ぼくは傘をさし、息子にフードをかぶせ、
ほぼそのままの姿で歩き出す。

先日ほどの大雨ではないこともあり
「だっこー!」とはならず、

今回は雨降りをむしろ楽しみながら、
並んで歩いて帰ることができた。

よく分からない天気だったなんでもない一日の思い出。



「つくしってたべられるんやって」
と、この日息子が教えてくれた。

「そうそう、パパも小さい頃によく食べていたわ」
と懐かしくなり、食べる分だけのつくしを持って帰った。

小さい頃に食べたつくしは、カツオ節がかかっていたけれど。
あまりに少量だからこれでいいや、、ということで完成。


こんなに緑色だったけ?と、
少しおそるおそる食べてみる。

うんうん、たしかにこんな味だった!
「おいしい!」といった感動まではいかないけれど、
たっぷりの懐かしさが蘇る。

30年ぶりのつくし。
息子と過ごしていると、
忘れていた感覚を思い出すことがある。

息子は一つ食べて
「にがいー」といって出しちゃったけれど。

ささやかでもこういう体験を大切にしていたい。

きっとまた公園でつくしを見たときに、
つくしの見方に「味」が加わるのだろう。

自分で体験して、ものの見方が変わる。

ささやかでも、こんな発見を楽しんでいきたい。




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