息子と二人で過ごす休日は、どこかの公園に遊びに行くのがいつものパターンだ。
この日「今日はどこの公園行こうか!」とたずねると、なんだか公園には行く気分じゃないという。
どうしようかなぁ‥と二人で話し合った。
お昼ご飯にパンを食べることは一瞬できまったのだけど、
うーん、、それまでなにをして遊ぼうか‥。
そこで、いいことを思いついた。
パンをただ買いに行くだけだとつまらないから、電車で行ける場所にあるパン屋に行こう!
と、まぁ‥勢いよく考えてはみたものの‥。
普段行かないパン屋に行くのは、パパはちょっとだけ勇気がいる。
せっかくの休日に勇気なんて極力使いたくないぼくは「いつも行っているパン屋」に行きたいところ。
そうだ!いつも行っている近くのパン屋に、バスと電車に乗って行くのはどう?!と提案してみた。
息子にとっては久々のバスと電車。
外に出る気分じゃなかった息子だけど「のりたいのりたい!」と急にテンションが上がった。やった!というわけで〝ぶらりプチ二人旅〟に出かけることになった。
バスで隣町の駅まで行き、電車でもどってきて、パンを買って帰る計画だ。
ぶらり旅らしく、それ以外のことは考えない。
予定にしばられず、無心で楽しむのが旅のいいところだ、きっと。
ぼくは、たまーにだけど、息子と服の色を合わせることがある。
息子も「いっしょだ」って言って喜んでくれるし、そのことで自分も出かける楽しみがちょっと増す。
出不精な自分の気持ちを盛り上げるために、ずっと前からやっている。
息子が1歳のとき、チノパンに白いTシャツで合わせて公園に行った。
そのあと実家に行ったら、おじいちゃんも同じ服装でみんなで大笑いしたことがあったけ。
あの頃から相方はどんどん自我が芽生えてきて、黄色い服を選ぶことが増えた。
今年、ついにぼくも黄色いTシャツを買ってしまった。
今回は黄色ではないけれど、茶色とグレーで合わせた。
歩き出すとあまりに暑かったから、二人して上着を脱いだらお揃いではなくなったけど。
ぶらり旅なので時刻表を調べずに行ったら、バスが来る30分前に到着してしまった。
30分は待てないな、どうしよう‥。
そうだ!エコバックを取りに家に帰ろう。
実は、パンを入れるためのエコバックを忘れていたことに気づいて、気になっていたのだ。
普段、すぐに抱っこを求める息子が、ずっと歩いている。
途中に休憩をはさみながら、自分たちのペースで、時間にとらわれずにすすんでいく。
蝶々の大群みたいな植物を見つけたりもした。
またバス停にもどってきたのは、バスが到着する予定の7〜8分前だった。
ちょうどいい時間だ!と思いながら、お茶を飲んだりしてバスを待つ。
バスが来るまであと3分というところで、息子が「はやくバスにのりたいー!」と叫び出し、我慢の限界。
ちょっと本格的にぐずりだす雰囲気に。
こんなとき「あと3分だよ」と伝えたところで、息子は3分がどのくらいなのか想像もつかない。
かといって「もうすぐ来るからね」と言ったって、もうすぐってどのくらい?となる。
そんなときに、スマホのタイマーが便利らしいよと妻から教えてもらったことがある。
例えばおもちゃで遊んでいるときに「さぁ片付けるよ」と突然言われても心の準備ができなくて、子どもは気持ちを切り替えるのに時間がかかるものだ。
我が家でも、遊ぶ時間が終わるときによくアイフォンのタイマーを使っている。
そのことと重なり、ぼくはタイマーで「2分」をセットした。
黄色いのがなくなったらバスが来るよと伝えると、じっと落ち着いて見ていた。よかった。
数字だけのタイマーだとあとどのくらいか分からないだろうけど、
アイフォンのタイマーは、黄色の円がなくなっていく仕掛けになっている。
視覚的な情報で、分かりやすく時間の理解をうながせる。
また、円がかけていくのがシンプルにおもしろいのだと思う。
円がなくなりアラームがなった。
バスが来る方向に目を向けると、遠くの方にバスが見えた!
さっきまでのぐずりがウソのように踊り出したので笑ってしまった。
バスが、到着するとき、運転手さんがさっと手を振ってくれた。
子どもたちの夢を大切にしてくれて、本当にありがたいなと思う。
せっかくの場面なのに、なんと息子は気づいておらず。
「運転手さん手振ってくれてたで」と、あとで伝えると時間差で喜んでいた。
そういえば、乗り込む直前にプスーッと車体が傾いたことに気づいた。
一瞬、タイヤがパンクしたのかと思った。
これは、乗り降りがしやすいよう車体を低くしてくれているのだそう。
子どもが乗るからかと思いきや、そういった場合に限らず毎回なのだそう。
そんな、きめ細かな思いやりに、これまで気づいたことがなかった。
息子と過ごしていると、人の思いやりに気づかされることがいくつもある。
いつも自家用車で移動するときと、景色の見え方も違うようで、久々のバスを楽しんでいた。
利用する人が少ない時間帯だったから、途中から完全な貸切状態で贅沢なバスツアーになった。
いつも当然、移動することが目的で乗るバスも、乗ることが目的になると全然違う乗り物になる。
あっという間に感じるほど楽しい時間で、もっと乗っていたかった。
駅に到着すると、すぐに電車がやって来て隣町を堪能することなく乗り込んだ。
優雅な気分で楽しみたかったぶらり旅なのにいきなりの弾丸感。
これを逃すと、また30分待たなきゃいけなくなるような気がしたから‥こればっかりは仕方ない。
電車に乗り込むときに「さ、わたしたちものりましょう」と言った息子。
なんのキャラ設定だったのか‥ちょっとパパは分からないけれど。
そのセリフが妙にツボってしまった。
テンションが低いと絶対に出てこないセリフに、こっちまで嬉しくなる。
移動するためではなく、乗るためにバスに乗り、乗りたいだけの理由で電車に乗る。
こんな遊びが、こんなにも楽しいこと、いままで気がつかなかったな。
べつにしなくてもいいことをして、充実感が生まれるってちょっと不思議な感覚だ。
目的地のパン屋へ。
大好きなウインナーパンを見つけてホッとしていた。
パンを買った後、思い出したかのように「だっこー!」と、抱っこモードに。
「もうたいりょくがないの」と言うから驚いた。
体力って言葉、いつ覚えたんだろう。
知らない間にどんどん成長していく。
そしてその言葉に笑ってしまった。
パン屋さんに到着する直前、なんなら小走りだったのにって。笑
でも、たしかにめずらしくいっぱい歩いたなって思う。
乗り物を使ったひと駅分のちょっとした往復も、3歳の息子にとっては冒険になる。
こんな休日の過ごし方もなかなかいいものだな。
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